1:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:34:05.11 ID:mht4CVJf0
ぽちぽち、かちかち。
私はボタンをリズミカルに弾いていく。それに応じて液晶内のキャラクターは滑らかに動く……はずだった。
しかし、現実は厳しいもの。思い通り動くはずの私のキャラクターは、隣人の手によって操作されるキャラクターの猛攻を受けてなすがままにされてしまう。
「むむむ。……だけど、こんなものが私の全力だと思わないでね! 追い詰められた私の秘めたる力を見せてあげ――――」
「うん。そうすると、思った……。確殺コンボ入れるね…………?」
ズガガッ、ドドッ、ドバーンッ!
一発逆転を狙う、私の大ぶりでスタイリッシュな一撃は無駄のないタイミングで回避され、そして生まれた隙に迅速なコマンド操作による精錬された猛攻を叩き込まれてしまった。
快音とともに私のキャラクターは画面外に飛び出していった。無念……。
くはーっ、よくわからない声が口から洩れてしまう。
「杏奈ちゃん、やっぱり強いよー。全然かなわないや」
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2:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:34:51.27 ID:mht4CVJf0
同じソファに背を預ける隣人改め、杏奈ちゃんにそう話しかける。
私の言葉に、杏奈ちゃんはいつもの桃色のウサギパーカーを深くかぶってしまった。だけどそれは私と目を合わせようとしていないのではなく、照れているんだと思う。可愛い……、と口にしないで個々のの中で思った。
「百合子さんは…………自分のしたいコマンドだけじゃなくて、相手のコマンドも警戒したほうがいいと思う……よ?」
「うう、耳が痛い」
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