【モバマス短編集】「築き上げたもの」
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30: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/24(土) 23:46:45.97 ID:tI5dYSFO0
プロデューサーに指示されてレッスン場に行くと、ベテトレさんが張り切って待っていた。

「本田、今日から引退ライブに向けてレッスンだ」

……引退ライブ?

「え、ちょ、聞いてないよ!」

「聞いてない? アイドルたるもの、ライブは定番だろう。今更何をそんなに驚くことがある?」

「それはそうだけど…………」

「本田」

ポンと肩に手を置かれる。

「お前とももう長いな」

六年間の歳月。

私は成人になり、ベテトレさんには小じわが増えた。

「何を燻っているかは知らんが、私がお前に手を抜くことはない」

優しすぎる目に耐えきれなくなって、逃げるように吐き捨てた。

「私の……引退ライブなんて……」

しっかりと声が届いていたはずなのに、ベテトレさんは思いっきり笑い飛ばした。

「アッハッハッハッハ。こんなことを言うと失礼だが、本田のライブが楽しくないなら誰のライブだって楽しくないと思うぞ?」

「そ、そんなこと……!」

「まぁなんにせよライブは決定した。アイドル活動最後のレッスンだ。気を引き締めていこう」

「…………はい」

その日のレッスンは今まで以上に苦しかった。


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