男「住み込みメイドとな?」 女「なんなりとお申し付けください、ご主人様」
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25:名無しNIPPER[saga]
2017/06/24(土) 21:25:53.27 ID:FQTLRGNNo

澪が手持ち無沙汰に、髪を手でほぐす
腰ほどまで長く伸びた黒い髪は痛むなどという言葉とは無縁のように艶めかしい
普段メイド姿では結んでしまう髪の毛を解いても蓮は気付きもしない

むっとしながら澪は、ならばと拳一つ分蓮の方に腰をずらして距離を詰めた
肩と肩が触れ合い、二人の距離は限りなくゼロに近づく

だがそれでも蓮からは何もリアクションはない
その目は真剣に文字を追って上から下へ、そしてまた上へと動いていく

こうなれば根比べである
どこまでやれば蓮が気が付くのか
澪の口元が釣り上がり、いたずらを思いついた子供のような無邪気な笑みがこぼれた

自分の長い髪を一房手に取り、それをつまんで筆のように持つ
そのままさらさらとした毛先の束で蓮の首筋を撫でた


男「ん……」


蓮がピクリと肩を動かし反応を漏らした
だがそれでも反応はそれだけで、まるで取り憑かれているかのように本から目を離さない

ならば、逆に視界の中に入ってしまえば良いのでは?
そう思った澪は、屈んで本の目の前から蓮の顔を覗き込んだ
目の前をちょろちょろと動き、普通なら鬱陶しいことこの上ないはずなのだが、蓮はそれでも動かない

澪なんて視界に入っていないのではないかと思うほどの集中力に、メイドは最早ため息を隠そうともしない


女「私は本以下ですか、そうですか」


ため息と共に吐き出したその言葉は当然の如く蓮の右耳から左耳へ抜けていく




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