36: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2017/06/25(日) 02:06:33.28 ID:zKrhlsv70
それは依頼の電話である。このご時勢においても、俺と稀有は携帯電話を持ち歩いていない。だから全ての依頼はこの事務所の黒電話へとかかってくる。
電話が鳴るのは別段珍しいことではないはずだった。
だのにどうしてだろう。嫌な予感がして――あぁそうだ、この感覚は昔味わったことがある。自分より強い相手に戦いを挑まなければいけないときに酷似している。
ごくり、と喉を鳴らした。自分のものかと思いきや、口の中はからからで、なら誰なのだと考えれば、残されたのは稀有しかいない。
眼が合う。互いにうなずいて、それでもなんとか受話器に手を伸ばせたのは俺。
真南からの電話だった。
密室殺人。政府要人が射殺された。
死にそうな声で彼はそう告げたのだった。
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