80年後のシンデレラガールズ
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1:名無しNIPPER
2017/06/22(木) 00:49:01.49 ID:ypqxdl+p0
「ここまででいいよ」

「お母さん一人で大丈夫?」

中年女性は、自分の母親に訊いた。

「平気だよ」

老婆は微笑みながら返した。

墓地の駐車場に停められた車から
一人の老婆が降りた。
おかっぱ頭の髪型は若い頃から変わらないが、
髪の毛は総白髪になっている。
白いワンピースは、年老いた今でも似合う。
右手には白百合の花束を持っており、
皺だらけの手と艶やかな花弁が対照的に思えた。
左手にはウイスキーの瓶を持っている。

老婆は、足を引きずりながら石畳の上を歩いた。
8月の暑気……湿り気を含んだ暑気に覆われている。
草木は青々と茂り、セミの鳴き声が聞こえ、
自然は活気に満ち溢れている。
墓石の群れは静まりかえっており、周囲の自然と対比をなしていた。
時が止まってしまっているかの様に、沈黙する墓石たち……

やがて、老婆はひとつの墓石の前で立ち止まった。
よく磨かれて艶やかな灰色の花崗岩の直方体。
そんな墓石には「多田家」と家名が彫られている。


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