98: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 22:57:09.35 ID:5UUNa7QZ0
「もちろん、ポジパだって手を抜くわけじゃないよ」
私は両手を後ろで組むと、茶化すようにちょっと大げさに言った。
前かがみになって、あーちゃんの顔を覗き込む。
「ポジパもニュージェネも、未央ちゃんはどれも全力全身だから。サンノスがあるからなんて、いい訳しないでね」
「もちろん。でも、あんまり無理をしないでね」
「分かってる分かってる」
あーちゃんとは駅まで一緒に歩いた。
会話の花はゆっくりと、段々と華やかに咲き誇り駅に着くころにはすっかりいつも通りに戻っていた。
戻っていたと思う。
電車に揺られながら、私はあーちゃんの言葉を思い出した。
あの言い方は確かにずるかったと思う。自覚していた。
あーちゃんに応援してほしいと押しつけているようなものだ。
拒絶されるのが怖かったから、先にああ言ってしまった。
そして、あーちゃんもそれを受け入れてくれた。
あーちゃんの優しさに、甘えたのだ。
ならばせめて、我がままを通しただけの努力を見せなければ。
(頑張らなきゃな……)
遠くでは日が沈み出し、空は夜の闇に染まり始めていた。
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