69: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 21:44:05.39 ID:5UUNa7QZ0
「そう言えばくみちー、プロデューサーと喧嘩したって本当?」
その原因であろう出来事について聞くと、くみちーはバツの悪そうに視線を逸らした。
「それは……その……だって、プロデューサーが分からず屋だったから」
「どうして」
「もうちょっと考えろなんて言うのよ。だからさ……」
物憂げな表情をしていたが。
「今はプロデューサーのことはどうでもいいでしょ。それより私のピアノ、聞きたいんでしょ?」
くみちーは家の奥に案内してくれた。他より重い扉をくぐると、広いスペース。
壁の脇には椅子が並んでいて、中央には一台のピアノが置かれていた。奥には外につながる別の扉がついていた。
どうやら、ここでピアノを教えているらしい。
カバーを開け、赤いフェルトの布を取ると、ミルクのように真っ白な鍵盤が姿を現した。
「なに弾こうかな……」
椅子に坐りながら、くみちーが呟く。
「くみちーのお勧めは?」
「お勧めか……それなら」
くみちーは細く柔らかな指を鍵盤に添えて。
自分のリズムを思い出すかのように、その体全身で大きく息を吸ってから、指が軽やかに音を刻み出した。
ピアノの音で聞くのは初めてだけど、とっても聞き覚えのある曲。
「お願いシンデレラ」
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