48: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 21:17:07.97 ID:5UUNa7QZ0
「しぶりん今日レッスンあったっけ?」
「うんうん、卯月と事務所で待ち合わせてるの。今日は卯月、朝から仕事だったし」
「どっか行くの?」
「美術館。貰い物で余ったチケットがあったから誘ったんだ」
「私も誘ってよー」
「未央、絵なんて興味あるの?」
「もちろん。ダヴィンチにロダン、ミケランジェロにミセス・バーネット!」
「最後のは小説家じゃない?」
しぶりんは呆れるように笑ったけど、
「ねえ未央。サンセットノスタルジーの話ってホント?」
やはりその話題はでるだろう。
私は少し気まずくなったが、つとめて明るく笑って見せた。
「ああ、やっぱり知ってた?」
「ニュースになってたもん、知ってるよ」
「知ってたなら、メッセージでも送ってくれれば良かったのに」
「どうして? 会った時に聞けばいいでしょ」
もっともだ。それから私は、かいつまんで事情を説明した。
「美羽、凄いことしたね」
しぶりんは目を瞬かせていた。感心と驚きがごっちゃになっているようだった。
「いやあ、これには未央ちゃんもびっくりですよ」
「でも、未央もサンノスをまたやりたいんでしょ?」
その藍みがかった瞳が、心の内を覗かんとするように私を射抜いた。
私は、静かに頷く。
「うん」
「ふうん」
本当になんでもないように、しぶりんは微笑んだ。
「だったら、私は応援するよ」
「……ありがとう、しぶりん」
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