58: ◆DRWAQA1PyQ[sage saga]
2017/08/04(金) 19:00:51.70 ID:6Gh23rY10
陽炎『今だけは貸してあげる』
言葉が反響し、心を騒がせる。
わたしだけに聞こえるように言った宣戦布告。
あの人は秋雲をまだ諦めてないと、わたしに牙を向けた。
小さな声で囁かれただけのもの。しかしそこに込める意思は、恐怖を抱くほど確かなものであった。
この子はわたしと一緒に居たいと言ってくれたから安心。だけれども落ち着かない。
あの人のことを好きかと尋ねれば、すぐに好きと返してしまうような彼女の笑顔が、私を不安にさせる。
もしかしたら今度は、わたしがあの人のように、彼女の興味から外れてしまうんじゃないか。
晴れ晴れとした空に、雲りがかかるような幻影が立ちこめていた。
おしまい
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