25: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:25:49.08 ID:yFIcZ1s10
その日のボイスレッスン。今日は、可奈と可奈の憧れている千早さんとのレッスンだった。どうやら、プロデューサーさんは先輩と後輩を一緒にレッスンさせたいらしい……どれほど上手くならなければならないかを、実感でもさせたいのだろうか?私としては、心が折れるシアターアイドルがいてもおかしくはないと思うのだが……
「千早さん!今日は、よろしくお願いします!」
「可奈。ええ、今日は伸び伸びと歌いましょうね」
「わーい!楽しくのびのび〜♪やる気もモリモリ〜♪」
可奈がいつものように元気に歌っているのを、千早さんは嘲笑するのではなく、心底楽しそうにほほ笑んで聞いていた。朗らかな笑み。昔の千早さんは、笑う事を滅多にしないで歌っていたというけれど、それが疑わしくなるくらい、良い笑顔だった。
私も、改めて声をかける。
「千早さん、今日はよろしくお願いします」
「志保もあまり緊張しないで。楽しく歌いましょう」
「……はい」
言われても、そう簡単に緊張が解けるはずもない。いつも硬い表情をさらに硬くして、私には返す事しかできなかった。
「じゃあ始めましょう。まずは、基本の発声練習からだけど――」
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