【ミリマス】ライアー・ルージュ
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20: ◆SESAXlhwuI[saga]
2017/06/16(金) 19:23:13.51 ID:yFIcZ1s10
「もう、きちんとゴミ処理位はしてほしいわ……」
 私は、余計な観客に不平を零しつつ、それらを手に取った……よく見れば、下敷きになった紙には何か黒いインクがにじんでいる気がする。ここまで嫌がらせをするのだろうか。プロデューサーさんを拒んだ私を、彼は嫌ったのかも――
『サビのステップ・いつも半拍遅い。初動は早すぎるくらいに動いても構わないので、リズムを重視してステップを踏む事』
「……え」
 チラリと文字が視界を横切ると、今まで、彼への不平を浮かべる事で精いっぱいだった脳みそがリセットされた。その紙切れに目を近づけてみると、すべて私へのアドバイスで埋められていた。私はそれを必死に解読する。時折、黒ずんだ染みになっているだけの部分であっても、その貴重な一言一言は、私の胸に染み込んでいった。
 そして最後に。
『P.S. ダンスレッスンに傾倒しすぎないこと。発声練習を繰り返し行っておかないと、アイドルとしての声量を確保するのは難しい』
「……余計な、お世話です」
 更に、紙に染みていたインクが滲んだ。いや、これは私がどうこうしたからじゃない。きっと、滴り落ちた汗だろう。そう、そうに決まっている。
 その文字を徹底的に視線で追う。しかし、滲んでしまった文字は私に全貌を伝えているかすら、把握することを許してくれなかった。
 ――でも、せっかく貰ったアドバイスなら。
 私は、それでも必死に解読し続けた。


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