5: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/06/16(金) 18:44:06.30 ID:owrHDoo50
「今度、プレイベントを行うことになったんですよ」
真っ赤な嘘である。
ちひろは数年前から、秘密裏に建設した事務所の地下闘技場で『プロレスごっこ』による賭博を運営していた。
だがしかし、顧客らはマンネリ化を感じ、業績がかつてのようには行かなくなっていた。
そこで、これまでのような業界内の負債者だけでなく、事務所内のアイドルもプロレスごっこに参戦させることにした。
しかし、アイドル同士の殴り合いは受けるかもしれないが後に響く。
ならば、決闘ではなく一方的な暴力を観客に届けるとしよう。
決闘を心の底から臨んでいる客には申し訳ないが、血を見たいという理由だけでプロレスごっこを観戦しに来る奴らが今回はターゲットだ。
だから、プロデューサーという絶対に反撃しないサンドバッグを相手役として用意することにした。
「これに出場して、その場で身の潔白を証明しましょう!」
なかなかにアホな作戦である。
常人なら、どうやってプロレスごっこで誤解を解けというのか、至極当然の疑問を持つだろう。
「わかりました…それで誤解が解けるなら!」
しかし、プロデューサーは了承した。
彼はここまでに冤罪のせいで心が疲弊しきっており、正常な判断を下すことが難しくなっていたのだ。
また、それ以外の理由もあるが。
わらにもすがる―――まさしく、その言葉通りに彼は出場を了承した。
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