12: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/06/16(金) 18:48:18.92 ID:owrHDoo50
思えば、不審なことだ。
なぜプロデューサーは、有香の攻撃を避けも躱しも防ぎもしない?
なぜそのままただ殴られているだけなのか?
それに、「足りない」とは。
『いや、懺悔じゃない、潔白の証明のためだ』――あのときのプロデューサーの言葉から、凛は結論を出していた。
「プロデューサー…まさか…!」
プロデューサーは、身の潔白の証明のために、無抵抗で殴られることを選択したのではないか?
それが凛の結論。
凛はこの答えに辿りつき、そして、右手に掲げたタオルを下げた。
こんなのはただのプロデューサーの自己満足で、潔白が証明出来るとは思えない。
そもそもプロレスごっこでどうやって身の潔白を証明しろというのだ。
極めつけのアホじゃないか。
でもこれが、プロデューサーの選択なら…。
そう思うと凛は、このアホの骨頂のような選択でも、バカに出来なかった。
ここまでに、プロデューサーが受けた言われもない冤罪のせいで少しおかしくなっていたことは知っている。
もしかしたら、これ以外に方法が採れなかったのかもしれない。
だったら、私はプロデューサーの意志を尊重するだけだ。
この戦い、いや、証明を最後まで見届ける。
それが私に出来る、セコンドとしての最大の役目だ。
凛はタオルを握りしめ、何も言わず、ただプロデューサーの方をまっすぐと見た。
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