【モバマスSS】あやかし事務所のアイドルさん 個別ルート・肇編
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36:名無しNIPPER
2017/06/15(木) 01:02:45.60 ID:OYIntdXm0
二人が部屋を出て行った後、文香が俯いたままの肇にどう声をかけようか迷っていると、肇は何かを決めたようでした。

「…うん、それしかなさそうですね」

ぽつりと呟き顔を上げた肇の目には覚悟の光が灯っていました。

「文香さん、お願いがあります。私のプロデューサーさんに関する記憶を食べて頂けますか?」

「……確かに問題は解決するかもしれませんが、肇さんはそれでよろしいのですか?」

「プロデューサーさんを[ピーーー]ことなく、私が退治されることもなく解決するにはこの方法しかないでしょうから。文香さんに損な役回りを押し付けてしまうのは申し訳ないのですけれどね」

そう言って困ったように笑う肇の姿は、文香には泣き出す寸前の子供のように見えました。

「瘴気だけでプロデューサーさんを害せないと分かれば、犬神は体の主導権を取りに来るかもしれません。そうなる前に…ぱくりとお願いします」

「……一つだけ条件があります。プロデューサーさんも当事者なのですから、肇さんから直接説明をしてください。それでプロデューサーさんが納得されたなら、責任を持って食べさせていただきます」

「…ごもっとも、ですね。プロデューサーさんも頑固ですから頑張って説得しないと。では私達もリビングに行きましょうか」

「肇さん、本当によろしいのですか?」

「…ええ、考えられる限りこれがベストな解決法です」

そう言って立ち上がろうとする肇を文香が抱きとめました。

「文香さん、何を…」

「部屋から音は漏れないようにしました。私も今からの事は忘れることを約束します。だから……肇さんの本音を聞かせてください」

文香がぎゅっと抱きしめると感情が抑えられなくなったのか、肇の目から大粒の涙がぽろぽろとこぼれ出しました。


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