162:名無しNIPPER[saga]
2017/06/23(金) 22:33:56.46 ID:3ai9I0vk0
「硝子さん、何故自分からノートを捨てたのですか?」
右京の問いに硝子は手話を用いてこう答えた。
当時の硝子は母親の期待に応えるため、
また自身も友達が欲しくて
筆談用のノートを使ってクラスの子たちとコミュニケーションを取ろうとした。
だがその結果は右京たちも知るように散々なものだった。
ノートには当時の石田をはじめクラスメイトから悪質な落書きをされるだけで終わった。
それでわかった。自分には友達を作ることなど決して出来ない。
当時、母が自分に望んでいた『普通』を手に入れることなど無理だ。
だからノートを捨てた。そのことを諦めてしまったから…
「俺は…西宮がノートを捨てるのを偶然見ていた…」
「あの頃の俺は自業自得だけど西宮と同じくイジメを受けていました。」
「でもノートが捨てられるのがなんとなく嫌だった。だからノートを拾ったんです。」
それは単なる偶然だったのかもしれない。
もしも硝子のイジメが
微々たるもので終わっていたら石田が筆談用のノートを手に取ることはなかった。
つまり硝子が諦めていたノートによって築かれるはずだった誰かとの繋がりは
同じくイジメを受けていた石田の目に止まったことで拾えてもらえた。
皮肉なことかもしれないがあのノートは硝子が誰かと繋がりを得る役割を果たせていた。
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