21: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:35:43.25 ID:GTk52CSjo
「翼、もう袖のところまで行くわよ?」
黒髪の少女はステージ脇の階段に足をかけながら、そう声をかけた。
ステージセットは後方ほど高くなるように段差がつけられているので、このように舞台に上がるための階段が組まれているのだ。
とはいえ今回使うのはせいぜい3,4段の、小さなものである。
「え?もう?」
髪のハネた少女が意外そうに答えた。
少し慌てた様子で黒髪の少女の方へ向かおうとして、自分が手に持っていたものの存在を思い出した。
「あ、そうだ。これ持っててくれますか?」
「わ、私?」
驚きつつも彼女は、少女の持っていたキャンディを受け取った。
ふとそれに目を向けたが、よくあるなんの変哲も無いようなものに見えた。
「それじゃあ2人とも、私たちのことちゃ〜んと、見ててくださいね!」
それじゃあ行って来ますね〜、と言って、少女は袖のところで待つ2人の少女のもとへと駆けていった。
舞台の方向へ向かう少女の後ろ姿は、彼女にとってとても眩しく見えた。
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