1:名無しNIPPER
2017/06/11(日) 18:56:24.22 ID:kXRpQ9pe0
月曜日
「サトハ、このお札だらけの箱はどうすればいいですか?」
「後で寺に持っていくから、入り口の横に固めておいてくれ……こらネリー!小判をこっそり持っていこうとするな!」
「サトハ!この服の詰まった箱は?」
「それは上等な反物だからとっておく。そこに置いたままにしてくれ!」
辻垣内家の蔵の中で、質問と怒号が入り乱れます
今は夏休み
数時間前のことです
故国へ里帰りに行くこともなく日本の夏で退屈を持て余していた、私こと明華とハオとメグとネリー
臨海女子の寮の私の部屋でちゃぶ台を囲みながら花札に興じていると、サトハから電話がかかってきました
サトハの「我が家に集え暇人ども」という号令のもと、私たちは東京郊外の辻垣内邸にやってきました
私とメグはすでに訪れた事がありますが、ハオとネリーは初めて目にした辻垣内邸に目を丸くしています
辻垣内邸には、まず広大な土地とそれを囲う塀があります
塀の中には日本庭園が広がり、石畳でできた道の奥に純和風の屋敷があり、母屋や離れなどが連なっていて、典型的な日本のお屋敷といった感じです
私も初めて目にした時にはあまりの荘厳さに目を丸くし、思わず持っていた日傘を落とし傘の露先をメグの目に刺してしまいました
ネリーの「サトハと結婚すれば逆玉の輿……」という呟きを尻目にあたりを見回すと、庭の左手から何やら物音がします
そこには、大きな土蔵があり、頑丈そうな扉が開いています
すると、中から智葉が出てきました
「はるばるよくきてくれたな。ネリー、ハオ、明華、メグ」
実に大儀そうにいうサトハ
「暇を持て余していたから構いませんけど……その格好はどうしたんですか?」
ハオがサトハに尋ねます
今のサトハは、頭にタオルを巻きタンクトップにカーゴパンツという、ガテン系の姐さんといった格好をしています
「蔵の整理をしていてな。お手伝いさんたちが盆の帰省をしているから、私がやっていたんだ」
「……つまり、私たちを呼んだのは」
メグの言葉に、智葉はニヤリ。と笑います
「その通り。蔵の整理を手伝ってくれ」
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2:名無しNIPPER[sage]
2017/06/11(日) 18:58:10.10 ID:kXRpQ9pe0
◇
などという事があり、私たちも動きやすい服に着替えて辻垣内家の蔵の整理をしているのです
3:名無しNIPPER[sage]
2017/06/11(日) 18:59:28.93 ID:kXRpQ9pe0
「なるほど……お前たちの欲しいものはそれらか」
サトハは若干頰を引きつらせなが言います。あげるのが惜しいほどの希少品を私たちが選んだからなのか何故欲しがるのか理解できないガラクタを私たちが選んだからなのかはその表情から察することはできません
「とりあえず風呂の用意はしてあるから入るぞ」
4:名無しNIPPER[sage]
2017/06/11(日) 19:00:28.39 ID:kXRpQ9pe0
◇
よくポヤポヤしているとネリーに言われる私ですが、浴衣を着るとさらにポヤポヤした気分になります
お風呂から出た後、私たちは用意されていた浴衣に着替えました
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