20: ◆2mwK9kDO1Y[saga]
2017/06/12(月) 00:24:31.38 ID:G8eGESGkO
……と、その時の僕は考えていました
後で考え直してみたのですが、突然後ろから声をかけられれば、誰だって振り向くに違いありません
僕の行動は、全くもって、彼女が妻であるという証明にはなっていませんでした
ですが、その時の僕は、彼女は僕の妻なのだと完璧に信じ込んでいました
「今、ご飯作ってるところだから……それよりもマコトさん、珍しいね。こんなに早く起きるなんて」
「最近は、早く帰れる日が続いているからね。今朝は、すこぶる体調が良いんだ」
「そうなんだ。どうして最近は帰りが早いの?」
「上司がね、暫くは定時で帰っていいって言ってくれているんだよ」
「ふーん……なんで?」
「それはね……」
――君が、死んだからだよ
「……どうしたの? ボーッとして」
「いや……何でもないよ。たまたま、僕がそういう日に当たったんだ」
僕は妻に、初めて嘘をつきました
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