19: ◆2mwK9kDO1Y[saga]
2017/06/12(月) 00:23:55.57 ID:G8eGESGkO
カチャカチャと、金属の触れ合う音に、僕は目を覚ましました
カーテンの隙間から漏れ出る光を感じ、眩しい、と感じます
また、朝がやってきたのです
この2DKのアパートで、金属を鳴らす音が響くとすれば、キッチン以外にありません
僕は鉛のように重い身体を奮い立たせ、布団をどかしながら上半身を起こします
扉の向こう側から、聞き慣れた鼻歌が聞こえてきます
妻が好きだった、有名な男性歌手のJ-POPです
僕は音楽はさっぱりなので、歌手の名前も曲名もしりません
ですが、その軽快な曲調やリズムには、少しだけ好感を持ちました
静かに扉を開けると、妻は僕が起きた事にはまだ気づいていない様子です
「……カスミ」
妻の名前を呼んであげると、彼女は肩を一瞬上下させ、こちらを振り向きます
彼女のポニーテールが背中で揺り動くさまは、なんだか見ていて楽しいです
「なんだ、起きてたんだね」
「……ううん、たった今起きたんだ」
カマをかけたつもりでした
妻の名前を呼んで、即座に反応しなければ、彼女は僕の妻ではありません
ですが、彼女の咄嗟の反応は、間違いなく、彼女は僕の妻であると証明していました
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