宮尾美也「はっぴー・もーめんと!」
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24: ◆TDuorh6/aM[saga]
2017/06/19(月) 21:25:39.99 ID:Ekk8e1lEO




電車を乗り継いで、私は海へとたどり着きました。
その間思い返していたのは、彼との幸せな日々。
彼にとっては偽者だったかもしれませんけど。
私にとっては本物の幸せでした。

でも、もう。
本人に、宮尾美也としての位置と名前をお返ししないといけませんでしたから。
これかれ彼の隣に立つのは彼女であるべきで。
これかれ彼の隣で幸せになるのは、彼女であるべきで。

涙は、もうありません。
彼女に対する恨みは、もうありません。
むしろ、感謝しているくらいです。
そのおかげで、私はこの辛い人生で幸せな一瞬を積み重ねられたのですから。

それに、きっと本物の宮尾美也よりも先に。
彼とキスする事が出来ましたから。
唇と唇では、彼に名前を呼んで貰えませんから。
私は、それで充分です。

崖の下で打ち上がる水飛沫が視界を黒から白に染めます。
きっと、私も。
公園でみた蝶の様に、自由に。
遠くまで、飛んでいける筈です。

「…さようなら…結局、呼んで貰えませんでしたね…」

でも、願わくば、せめて。

一度でいいから、彼に。
私の名前を、呼んで欲しかったですーー




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