18: ◆TDuorh6/aM[saga]
2017/06/19(月) 21:19:51.01 ID:Ekk8e1lEO
「…美也、とは…呼んでくれないんですね…」
「……」
静寂が部屋を支配します。
プロデューサーさんは表情を変えず、此方を見てきます。
ここで私が、ま〜いっかなんて誤魔化せば。
きっとまた、気付かないふりを続ける幸せな日々に戻れると分かりながら。
それでも私は、目を逸らさずに。
「…そう、か…思い出したんだな」
諦めた様な顔をしたプロデューサーさんが、ようやく口を開きました。
本音を言えば、今にだって誤魔化したいくらいです。
けれど、それを続けていてもお互い幸せにはなれませんから。
それに私には、逃げる場所なんてありませんから…
「全部、思い出しました」
テレビに映った宮尾美也。
微々たる違いはあるものの、私にとてもそっくりで。
けれど、生放送番組という事は。
私は…
「…本当に、すまなかった」
頭をさげるプロデューサーさん。
そんな彼は、涙を流していました。
そう、ですよね。
でも大丈夫です、貴方の優しさは伝わっていましたから。
彼の意図は、何となくですが分かります。
あの夜の、私の心を聞いていたのだとしたら。
いけない事だと分かっていても、誰の為にもならないと分かっていても。
少しでも、目の前の女の子に幸せを、なんて…
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