17: ◆TDuorh6/aM[saga]
2017/06/19(月) 21:18:27.59 ID:Ekk8e1lEO
「ただいまー」
「おかえりなさい〜、プロデューサーさん」
いつも通りのその一瞬が。
もしかしたら、これで最後になってしまうかもしれないから。
私は思い出してしまった事を隠して。
彼とのひと時を、精一杯幸せなものにしました。
「ご飯、作っておきましたよ〜」
「お、ありがとう。今日も色々あったからなぁ…」
「そうですか〜。お聞きいたしますぞ〜」
二人で食卓を囲むその時間が。
二人で笑いながらお話をするその時間が。
二人で並んで食器を片すその時間が。
私にとっては、最後になるかもしれないから。
手離したくないものは、いずれ離れていってしまうものでした。
それに気付いてしまったのなら。
その一つ一つを、幸せな一瞬に…
本当に、これなら思い出さない方が良かったんですけどね。
ありふれた、天気の話。
綺麗だった夕焼けの話。
明日もまた、なんてお話をしながら。
私は、覚悟を決めました。
「さて、プロデューサーさん〜。一つお聞きしたい事があるんです」
「なんだー?」
…やっぱり、ですね。
もしかしたら、なんて思ってはいました。
気付かないふりをするのも、もう終わりかもしれません。
意を決して、なんとか口に出せました。
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