曜「梨子ちゃん、怒るわけないよ」
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77:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 14:03:15.83 ID:N3+S3TwnO
図書館は開いていたけれど、図書委員はいなかった。
そう言えば、3人で花丸ちゃんとルビィちゃんを勧誘しに押しかけたっけ。
つい、この間のことのようだ。
私は方向転換した。
思い出に浸りたくて、他の場所も回って行った。
理事長室の前に来た時に、校舎の窓から生徒達が入って来るのが見えた。
もう、こんな時間。
窓枠に肘を置く。

「……黄昏てるわね、曜」

「げ、鞠莉ちゃん」

「げってなあに〜?」

鞠莉ちゃんが私の頬を両脇から引っ張る。

「いひゃ、いひゃあいっ」

手を離して、同じような姿勢でたたずんだ。
しばらくすると、鞠莉ちゃんが言った。

「曜、一人になりたいんでしょ」

「……うん……あ、その、えと」

「いいわよ。理事長権限をここで使う時が来た」

「うん?」

「みんなには内緒よ?」

と、封筒を鞄から取り出して私に渡した。

「なにこれ?」

私は中身を確認する。
切符?

「浜松の児童自立支援施設までの電車とか新幹線の切符と、地図」

「なんで、そんな」

「あなたに暴行を加えた子の転校先ね」

体が強張った。
忘れていたのに。
思い出さないようにしていたのに。

「行くも行かないも、曜が決めることだけど、渡しておくわ」

「こんなことしていいの?」

「理事長権限って言ったでしょ」

心臓が波打つ。
そこに一人で行って、何ができる。
蘇えってきたのは、恐怖だった。
それから――、梨子ちゃんの痛がる表情。





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