69:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 09:58:09.14 ID:N3+S3TwnO
「ちょっと、千歌ちゃん」
と、千歌ちゃんの反応を覗う。
「いいなあ」
「はい?」
水槽の前で指をくるくる回していて、こっちの話を聞いていない。
「いいなあ、私もファン欲しい」
ええっ、なんでやねん。
梨子ちゃんがピンチだよ?
なにいじけてるのさ。
「よ、曜ちゃんっ」
梨子ちゃんが情けない声で私を呼ぶ。
その場から一歩も動かずに、顔だけを忙しなく動かした後、私は梨子ちゃんの体を引き寄せた。
「この子、人見知りなんだ、ごめんねっ!」
所在無げに男の子の手が宙に浮かぶ。
「あ、いえ。すみません」
愛想よく笑って、頭まで下げる。
「元気出ました」
梨子ちゃんは緊張しつつも、それは良かったです、とスクールアイドルらしい笑顔を返していた。
「ねえ、曜ちゃん。もし良かったら学校まで案内してもらえないかしら。図図しいのは承知なんだけど」
今度は母親が頭を下げた。
そんな風に頼まれたら、むげにできない。
「い、いい?」
千歌ちゃんと梨子ちゃんも頷いていた。
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