43:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 21:37:10.04 ID:BCTrOgblO
「梨子ちゃん、前に言ったよね。その怪我は自分のものだって。なら、私も同じだよ。今のは私の問題だから、梨子ちゃんが気にする必要なんてない。私、何かおかしなこと言ってるかな?」
小さな頃から一緒にいたわけじゃないから。
同級生や千歌ちゃんのように、私の事、よく知らないから。
梨子ちゃんには、これ以上知って欲しくない。
「うん、言ってる。言ってるよ、曜ちゃん」
「……梨子ちゃん」
「私はこの怪我を引きずらない。その自信があるから言ったの」
真っ直ぐに、射抜くような瞳。
切れ長の目。
やめてよ。
私に、何かを期待しないで。
「確かに、今の曜ちゃんに憧れを抱いてる部分はある。だから、私は、曜ちゃんが全く泳げなくなって、お裁縫もできなくなって、人の悪口ばっかり言うダメな子になったら、怒ったり失望したりすると思うよ。それでも、離れたりしない。曜ちゃんとずっと一緒にいるよ。だって、私、曜ちゃんが好きだから、一緒にいるんだもん。私が一番怖いのはね、曜ちゃんに嫌われないかってことだけだよ」
チャイムが、廊下に鳴り響いた。
「お手洗い行けなかったね」
梨子ちゃんが、私から離れていく。
私の頭を撫でようとしたけど、私の顔を見て、途中で止めた。
「戻ろうか」
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