21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/06/04(日) 23:44:51.95 ID:uS13NFUz0
「おっと」
吹っ飛んだ俺に、サンガツと呼ばれた長髪の男が手を差し出す。
手を借りて立ち上がると、リンという少女、そして重音テトが遥か彼方で戦っているのが見えた。
今の一瞬であそこまで移動したのか。
規格外の光景に、俺はまたへたりと尻もちをついてしまった。
「『えれくとりっく・えんじぇぅ』は私とリンが持っている曲の中でも最も強力なものの一つです。攻撃力はもちろんですが、電子の翼での高速移動が可能になります。これで容易く仕留められる相手ではありませんが、時間稼ぎくらいにはなるかと」
サンガツが言った。
言葉の意味が分からずきょとんとしている俺に、サンガツは再び口を開いた。
「あの子のマスターはアナタなのでしょう?迎えに行かないと、今度こそ死にますよ」
「え?」
くいっと顎を向けられた先には初音ミク。
ボロボロになって横たわったそれは、未だにぴくりとも動かない。
そうか、あの子は重音テトと初音ミクを引きはがすためにあの力を。
「初音ミク!」
ふらつく足で駆け寄り、揺さぶる。
柔らかな素材でできた頬に、酷く殴られた痕があった。
「こ、壊れて……?」
「いえ、まだ大丈夫でしょう。リン!」
遠くの少女に呼びかけると、「はーいっ!」という返事と共に一瞬でサンガツの傍に戻ってきた。
「強いか?」
「強いよもうめちゃつよ!! ミリオン装填じゃなかったら何回殺されてたかわかんない!!」
返事の元気さで無傷かと勘違いしていたが、見れば右側の翼はほとんど原型を留めていない。
足元には血が付いた羽根がはらはらと落ち、光の粒になって消えた。
「我々もいつかは彼女と本気で戦うことになるでしょうね」
「次はぜったい勝つよ!! わかんないけど!!」
「逃がすと思うか?」
正面から冷たい声がした。
リンとは対照に、重音テトにはほぼ傷がない。
「ボクまだ曲さえ使ってないんだけど?」
「ええ、だから逃げるんですよ」
「初音ミクを置いていけ」
「それは無理ですねぇ」
「ははっ!」
途端、素人でもはっきりと分かるほど、殺意があたりに満ちた。
「『Sky H「させるか!!」
≪#sm1924663「ぶっちぎりにしてあげる♪」が発動しました≫
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