7:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:25:05.79 ID:sXCZ/6N50
みちるは鳴り物入りで出仕した。
だがここで天狗にならず、
仕事に真摯に取り組んだので、
8:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:25:36.28 ID:sXCZ/6N50
ある時みちるは、
蘭国の『麦餅(パン)』を作る様に命じられた。
聞くところによれば、幕府は蘭国使節のために
9:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:26:19.45 ID:sXCZ/6N50
みちるのために、
蘭国船で焼かれた麦餅が彼女に与えられた。
みちるは初めて麦餅を食べたのが、これが美味い。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:27:07.95 ID:sXCZ/6N50
頬張ると、遠い異国の小麦畑が、
太陽に照らされ風に揺れる様が、ありありと想像できた。
これが食えなかったのであれば、
11:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:27:47.62 ID:sXCZ/6N50
麦餅作りのために、みちるの工房が建てられた。
意味もなく西洋風だった。
内装は畳であったが、麦餅を焼くための石窯と、
12:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:28:22.73 ID:sXCZ/6N50
しかし麦餅作りはまったく
上手くいかなかった。
材料は単純であるから困らない。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:29:01.65 ID:sXCZ/6N50
みちるは、何度も製法を確認した。
『麦餅
挽いた小麦 塩 水』
14:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:29:36.57 ID:sXCZ/6N50
みちるは大きな誤解をしていた。
ただの名前と思っていた『麦餅』は、
なんとそれ自体の材料であったのだ。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:30:09.38 ID:sXCZ/6N50
通常、小麦と塩水を混ぜるだけでは生地は発酵しない。
発酵室で酵母の力を借りる必要がある。
16:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:30:36.85 ID:sXCZ/6N50
酵母は古代伊及(エジプト)で偶然発見されたのだが、
無論当時の幕府は知らないし、みちるも知らない。
日本にいるのかも定かでない。
17:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:31:05.64 ID:sXCZ/6N50
なので、蘭国の麦餅の欠片を材料に加えなければ、
発酵はできない。
しかしみちるは、それを全て平らげてしまった。
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