13:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:29:01.65 ID:sXCZ/6N50
みちるは、何度も製法を確認した。
『麦餅
挽いた小麦 塩 水』
14:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:29:36.57 ID:sXCZ/6N50
みちるは大きな誤解をしていた。
ただの名前と思っていた『麦餅』は、
なんとそれ自体の材料であったのだ。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:30:09.38 ID:sXCZ/6N50
通常、小麦と塩水を混ぜるだけでは生地は発酵しない。
発酵室で酵母の力を借りる必要がある。
16:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:30:36.85 ID:sXCZ/6N50
酵母は古代伊及(エジプト)で偶然発見されたのだが、
無論当時の幕府は知らないし、みちるも知らない。
日本にいるのかも定かでない。
17:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:31:05.64 ID:sXCZ/6N50
なので、蘭国の麦餅の欠片を材料に加えなければ、
発酵はできない。
しかしみちるは、それを全て平らげてしまった。
18:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:31:49.98 ID:sXCZ/6N50
麦餅作りは一向にうまくいかない。
幕府からの催促はうるさい。
そして何より、美味い麦餅が食べれられない。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:32:29.58 ID:sXCZ/6N50
翌日目を覚ましたみちるは、
憂鬱な気分であった。
工房中にへばりつく吐瀉物を
20:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:32:59.95 ID:sXCZ/6N50
発酵室の中もだいぶひどかった。
麦餅つくりがうまくいかない鬱憤のせいか、
ここが一番汚れていた。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:33:25.59 ID:sXCZ/6N50
みちるは、その生地を目にすると、吃驚した。
平べったかったはずの生地が、
「ムクムクムク…」と膨らんでいたのだ。
22:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:34:07.88 ID:sXCZ/6N50
さすがにそれを焼くわけにはいかなかったので、
一旦酵母室は綺麗にした。
そしてまた生地を作って寝かせてみると、今度はうまくいった。
23:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:35:18.64 ID:sXCZ/6N50
出来上がった生地を焼いてみた。
そして食すと、ほんのり甘かった。
酵母が小麦の澱粉を分解して、糖をつくっているのだ。
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