1:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:20:48.04 ID:sXCZ/6N50
あとがき パン協会からの苦情を震えながら待つ。
第1作 【モバマス時代劇】本田未央「憎悪剣 辻車」
第2作 【モバマス時代劇】木村夏樹「美城剣法帖」_
第3作【モバマス時代劇】一ノ瀬志希「及川藩御家騒動」
第4作【モバマス時代劇】桐生つかさ「杉のれん」
第5作【モバマス時代劇】ヘレン「エヴァーポップ ネヴァーダイ」
読み切り
【デレマス時代劇】速水奏「狂愛剣 鬼蛭」
【デレマス時代劇】市原仁奈「友情剣 下弦の月」
【デレマス時代劇】池袋晶葉「活人剣 我者髑髏」
【デレマス時代劇】塩見周子「おのろけ豆」
【デレマス時代劇】三村かな子「食い意地将軍」
【デレマス時代劇】二宮飛鳥「阿呆の一生」
【デレマス時代劇】緒方智絵里「三村様の通り道」
【デレマス時代劇】大原みちる「麦餅の母」
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2:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:21:21.59 ID:sXCZ/6N50
大原みちるは、幕府付きの料理人であった。
3:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:22:01.78 ID:sXCZ/6N50
彼女は幼い頃、
故郷から遠い仙台藩の『佐久間屋』に奉公に出た。
老舗の料理屋でいつも繁盛していた。
4:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:22:56.41 ID:sXCZ/6N50
そんな周囲に応えようとしたのか、
彼女は懸命に修行をした。
5:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:23:44.62 ID:sXCZ/6N50
みちるのいる佐久間屋は、
以前にも増して盛況になった。
美少女の料理人と美味い飯。
6:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:24:28.90 ID:sXCZ/6N50
当時藩の料理人の禄は8石程度であったが、
彼女には異例の15石が給われた。
実家の大原家は仰天し、狂喜した。
7:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:25:05.79 ID:sXCZ/6N50
みちるは鳴り物入りで出仕した。
だがここで天狗にならず、
仕事に真摯に取り組んだので、
8:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:25:36.28 ID:sXCZ/6N50
ある時みちるは、
蘭国の『麦餅(パン)』を作る様に命じられた。
聞くところによれば、幕府は蘭国使節のために
9:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:26:19.45 ID:sXCZ/6N50
みちるのために、
蘭国船で焼かれた麦餅が彼女に与えられた。
みちるは初めて麦餅を食べたのが、これが美味い。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:27:07.95 ID:sXCZ/6N50
頬張ると、遠い異国の小麦畑が、
太陽に照らされ風に揺れる様が、ありありと想像できた。
これが食えなかったのであれば、
11:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:27:47.62 ID:sXCZ/6N50
麦餅作りのために、みちるの工房が建てられた。
意味もなく西洋風だった。
内装は畳であったが、麦餅を焼くための石窯と、
12:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:28:22.73 ID:sXCZ/6N50
しかし麦餅作りはまったく
上手くいかなかった。
材料は単純であるから困らない。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:29:01.65 ID:sXCZ/6N50
みちるは、何度も製法を確認した。
『麦餅
挽いた小麦 塩 水』
14:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:29:36.57 ID:sXCZ/6N50
みちるは大きな誤解をしていた。
ただの名前と思っていた『麦餅』は、
なんとそれ自体の材料であったのだ。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:30:09.38 ID:sXCZ/6N50
通常、小麦と塩水を混ぜるだけでは生地は発酵しない。
発酵室で酵母の力を借りる必要がある。
16:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:30:36.85 ID:sXCZ/6N50
酵母は古代伊及(エジプト)で偶然発見されたのだが、
無論当時の幕府は知らないし、みちるも知らない。
日本にいるのかも定かでない。
17:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:31:05.64 ID:sXCZ/6N50
なので、蘭国の麦餅の欠片を材料に加えなければ、
発酵はできない。
しかしみちるは、それを全て平らげてしまった。
18:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:31:49.98 ID:sXCZ/6N50
麦餅作りは一向にうまくいかない。
幕府からの催促はうるさい。
そして何より、美味い麦餅が食べれられない。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:32:29.58 ID:sXCZ/6N50
翌日目を覚ましたみちるは、
憂鬱な気分であった。
工房中にへばりつく吐瀉物を
20:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:32:59.95 ID:sXCZ/6N50
発酵室の中もだいぶひどかった。
麦餅つくりがうまくいかない鬱憤のせいか、
ここが一番汚れていた。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 08:33:25.59 ID:sXCZ/6N50
みちるは、その生地を目にすると、吃驚した。
平べったかったはずの生地が、
「ムクムクムク…」と膨らんでいたのだ。
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