29:名無しNIPPER[saga]
2017/06/04(日) 12:33:57.80 ID:MaZC+zyvo
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「――お。二人とも、おかえ」
ホテルに…………ホテルに戻ると。
ロビーで八つ橋を摘んでいた周子ちゃんが手を振って、途中で止まりました。
再び私の顔とプロデューサーの顔とを見比べて。
徐々に震え出して、お腹に手を当てて、苦しそうに笑い出しました。
「ぷっ……あははははっ! お、おかえりっ! 楓さんと……色男さんっ! あはは!」
「…………」
「ただいま、周子ちゃん」
周子ちゃんの目には涙まで浮かんで。
まさしく抱腹絶倒する彼女を前に、プロデューサーは頬を掻くばかりでした。
「ず……随分とっ、ふっ、立派なモミジをお持ち……帰りでっ、ふふっ!」
その頬に、立派なモミジが一枚、張り付いていました。
ちょうど私の掌ぐらいの、鮮やかな赤色が、プロデューサーを秋めかせています。
平手打ちの秋でした。
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