モバP「いや〜楽しいっすね楓さん!あ、俺んち来ます?是非!」楓「……」
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5: ◆3UO.XRpYJ2[saga ]
2017/06/02(金) 13:46:20.05 ID:aKaeZq+60

「どうしたんですか?」

そうこうしているうちに、楓さんはシャワーから上がっていたらしい。声のした方向に目を向けると、彼女は部屋の入り口で不思議そうにこっちを見ていた。

「う……いや、なんでもありませんよ、はは」

反射的に出そうになった「うるせえ」を飲み込みつつ、適当に誤魔化しつつ時計を確認する。どうやら、気付かないうちに随分と時間が経っていたようだ。改めて楓さんに視線を戻す。




少しの間、息が止まったかのような錯覚がした。

しっとりと、湿り気を帯びている髪の毛。服から出ている手も足もほんのりと赤くて、なんだか凄く色っぽい。

湯上りの楓さんが、俺の部屋に立っている。

どうあがいても、滅茶苦茶なまでの破壊力だった。

このまま直視し続けるとどうにかなりそうで、とりあえず何かないかと逃げるように彼女の肩にかかっているタオルに視線を移す。結果、タオルでさえ少しいつもと違って見えて戦慄する羽目になった。

あれは本当に俺のタオルなのだろうか。白のシンプルなタオルは、いつも俺の肌を無駄にこすり上げる憎きごわごわなアイツには到底見えない。なんなら高級感すら漂っている。なるほど、使用者によってこうにも印象というのは変わるものなのか。シャツだって、センス皆無を自称する俺の物とは思えない。一周回ってオシャレな感じがする。

……俺のシャツ?

「ちょ、なんで俺のシャツ着てるんですか!」

「あいにく、着替えを持ってきていなかったので」

よどみなく返される。

「いや、でも。さっきまで着ていた服は?」

「プロデューサーは、お風呂に上がってから一度着た服をもう一度着るんですか?」

「それは、ない…………ですけれど」

たまに洗濯物が増えるのを嫌って着ることがあるのは秘密である。まあ、休日の部屋着だし。

「じゃあ、いいじゃないですか。一晩だけ、貸していただけますか?」

「……わかりました」

返す言葉もなく、しぶしぶそう返事をする。でもよくよく考えたら、選択肢として服を貸す以外なかったのかもしれない。さっきまでの無駄な思考のせいで敏感になりすぎていたようだった。

「あっ、この服、プロデューサーの匂いがしますね」

「着てもいいので匂い嗅ぐのは勘弁してください!」

前言撤回。やっぱりこの人は油断ならない。そう思いつつ、くれぐれも部屋を探索しないようにと釘を刺して、俺は逃げるように脱衣所に向かうのだった。






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