モバP「いや〜楽しいっすね楓さん!あ、俺んち来ます?是非!」楓「……」
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3: ◆3UO.XRpYJ2[saga ]
2017/06/02(金) 13:43:41.38 ID:aKaeZq+60

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『何をヘタレてるんだ?』

ふいに、そんな声が聞こえてきた。実際は音として聞こえたわけではなく、声の主は自分の中にいる。いわゆる、心の声というやつだ。

『いいじゃないか、楓さんとお泊り。お前、たまに妄想してたし、飲み会のたびにこうなることを少し期待してたじゃないか? 何より、本人が泊まりたいって言ってるんだぜ? 据え膳食わぬは男の恥って言葉もある。だから……な?』

酔いがさめるのと同時に復活した理性に反して、俺の心中は欲望に素直になることを推奨してくるようだった。なんとなく、何もない空間に、

「うるせえ」

と返事をしてみる。当然、それに対しての反応はない。今、部屋にいるのは俺だけだった。

シャワールームから水の滴る音と、鼻歌が聴こえてくる。俺の涙ぐましい20分ほどの説得時間は、結果的に全くもって彼女には響かなかったのだった。

彼女は俺の話を適当に聞いたふりをしつつ、俺の話が終わったと見るや、

「じゃあ、シャワー浴びてきますね」

軽く微笑んでそう一言。さらには、

「『先にシャワー浴びて来いよ』って言わないんですか? ふふっ、お約束ですよね?」

ともう一言。まさに馬耳東風だった。

どうにも、彼女の笑顔に俺は弱いらしい。気付いたら反論する気も失せていた。ノックアウトKO負けといった感じ。




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