39:名無しNIPPER[saga]
2017/05/31(水) 20:00:45.08 ID:3uv3ojMy0
しかしある時、勘定奉行に勤める美玲の母が、
多額の横領の疑いで捕縛された。
町奉行はその罰として、早坂家一門を斬首の刑とした。
罪状からはありえないほどの極刑である。
なにかの意思が介入していたのは、
火を見るより明らかであった。
そして斬首を執り行うのは、仁奈の勤めであった。
「いやでごぜーますよ!
美玲さんを斬るなんて、ぜってぇやでごぜーますよ!!」
仁奈は泣き叫んで、奉行からの命に抗った。
どうして、生涯で初めて出来た友を
自らの手で殺めねばならないのか。
処刑人の家系に、醜い肌を持って生まれたのは我慢ができた。
だがこの運命には到底耐えられぬ。
「それでは、他の武士にやらせるか」
両親は仁奈にそう言った。
不得手な者が刑にあたれば、
罪人は必要以上に苦しむことになる。
それでもよいのか、と。
美玲の斬首は、覆しえぬ現実であった。
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