5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/05/30(火) 17:56:45.89 ID:Bv1bX58W0
「ん」
中々上手に行ったじゃないかと、自分で自分を褒めてみる。
後は花を飾った花瓶に燭台――どちらもこの時の為に用意したものだった――
真新しい蝋燭に火をつけて、部屋の電気を暗くする。
狙い通り、ロマンチックなムードを演出できた彼女はご満悦だ。
最後に料理を運んでくると、割れ物でも扱うような慎重さで自分の座る席に置く。
透明なグラスに注がれた、赤い液体が柔らかな蝋燭の明かりに妖しく揺れた。
小さく乾杯するように持ち上げて、彼女はそれを、まず同席する相手の口元へと寄せる。
……滴り落ちた液体が、平たい皿を満たしていく。
味の感想を求めると、最愛の人は微笑んだように見えた。
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