【モバマス】てるてる坊主に赤いリボンを【百合注意】
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/08/19(土) 17:04:02.51 ID:+BXPsLj6o
幸子「まゆさんが知ってのとおりプロデューサーさんに想いを寄せる人はたくさんいました。その中でボクは四六時中プロデューサーさんに引っ付いて仕事をしてました。皆さんかなり積極的な方々でしたので、普通ならボクがプロデューサーさんのことを独占してるのを許したりしないでしょう。」
まゆ「でもそれは幸子ちゃんが一番頑張ってたからじゃないんですか?」
実際はそうだったのかもしれません。ですがボクにはそうは思えませんでした。
幸子「違いますよ。誰もボクを、プロデューサーさんを含めて誰もボクのことを気にも止めなかったからです」
まゆ「幸子ちゃん……それは……。」
そうですね、ボクもそれはないと思います。
幸子「幸子なら間違いはない、幸子ならいつでも奪える、幸子ならスキャンダルにもならない、みんなそう思ってたからボクはプロデューサーさんといつでも一緒に居られたんです。」
ですがボクの心はマイナス方向に周りを都合よく捉えます。
幸子「ですから、まゆさんがウチのプロダクションに来てくれたとき、とてもうれしいかったんです。あなたはボクを敵と思ってくれたから。」
まゆ「……そんなことはありませんよ。」
幸子「別に怒ってる訳じゃありませんよ。むしろボクはあなたに恋い焦がれていました。無関心でくすんだ世界でまゆさんはとても鮮やかに見えました。」
まゆ「……まゆはその時、
幸子ちゃんが邪魔だとおもってましたよ。」
幸子「そうでしょうね。生まれて今までボクはこんなにも敵意を向けられたことはなかったはずです。」
まゆ「で、でも今は!」
幸子「言ったでしょう?ボクは嬉しかったんだって。レッスンシューズに画鋲が入ってたり、着替えが自販機のジュースで汚されたり、自宅のポストに脅迫文が入ってたり。」
まゆ「知ってたんですか?まゆがやったって。」
幸子「もちろん、こんなにもボクのことを想ってくれる人なんて他にいませんから。さすがに学校の制服引き裂かれたのは堪えましたけどね。私立の制服ってそこそこするんですよ?」
それでも特定の人物から熱い感情をぶつけられたことに感動していたボクは相当頭がおかしくなってたのかもしれません。
まゆ「……ごめんなさい。」
幸子「ですからまゆさんが居なくなったらボクを見てくれる人が居なくなるんです。……居なくなるとおもってました。」
まゆ「まゆはここに居ますよ、ずっと幸子ちゃんを見てますよ。」
幸子「ダメなんですよ。まゆさんがボクを見てたのはボクの向こうにプロデューサーさんが居たからなんです。プロデューサーさんが要らなくなったまゆさんにとって、ボクはもう障害物でも身代わりでもないんですよ。」
まゆ「そんなこと……プロデューサーさんが居なくても幸子ちゃんは幸子ちゃんじゃないですか。」
幸子「ボクが納得できないんですよ。プロデューサーさんが居なくちゃ、まゆさんがボクに目を向ける必要なんです。ボクがあなたの気持ちを信用できないんですよ。」
まゆ「……まゆがまたプロデューサーさんに恋をしてプロデューサーさんを欲しいと思えば、幸子ちゃんに信用して貰えるんですか?」
それはイヤです、せっかく失恋と向き合えるようになったのに、もう届かないと分かった相手を、それも全く関係のない他人の気を惹くために好きでい続ける なんて悲しいことを、まゆさんにしてほしくありません。
幸子「この話はやめましょう。明日に響きますよ。」
ですが、ボクには彼女の欲しがった答えを返すことができず、逃げ出すことしかできませんでした。
会話が途切れて1時間ほど経った頃、ボクは後ろから彼女に抱きしめられました。
まゆ「明日、まゆはこの家に帰ってきます。ですから幸子ちゃんも必ずまゆのところに帰って来て下さい。約束ですよ。」
ボクはタヌキ寝入りを続けることしかできませんでした。
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