森久保乃々「これだけは無理なんですけどぉ!!」
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43: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/27(土) 22:24:30.83 ID:J9R5aJQV0

「森久保ちゃん?今日プロデューサーさんはいないの?」

「あ、えぅ、その、入院して…。」

「入院!?あーマジか…打ち合わせどうするよ…。」

 今日の収録。いつものワンコーナーだけの収録です。でも、いつもの何倍もの不安が私を襲いました。

「…大丈夫、大丈夫。」

 まだ始まるまで時間はあります。落ち着くために、深呼吸。プロデューサーさんが言ってたように。

 不安が大きいとき、私は決まってプロデューサーさんと机の下で一緒に座ったことを思い出します。

 私が初めての仕事に行かないとごねたとき、プロデューサーさんは私が立てこもっていた机の下に潜り込んできました。

『…なんか、狭くて心地いいね。乃々ちゃんがここにずっといたくなる気持ちも分かる。』

『だったら…もりくぼをここから出さないでほしいんですけど…。』

『でもね、ここにいたままじゃ体験できないことがあると思うんだ…僕は乃々ちゃんにいろんな事を感じてもらいたいんだ。』

『そんなことしなくても…もりくぼは結構なんですけど…。』

『ははは、確かにね、もっともだ。…でも…そんなことが、案外とんでもないくらい大きな思い出になったりもするんだよ。』

『思い出…ですか?』

『うん。とってもとっても大きな思い出。ふとしたときに思い出して、笑顔になるような。』

『そんなこと…あるんですか?』

『それを確かめるのは乃々ちゃんだよ。』

『えぇ…。』

 確かに、あの時から、私にはたくさんの思い出ができました。辛かったことも、嬉しかったことも、恥ずかしかったことも、誇らしかったことも含めて全部、大きな大きな思い出。

「よし…!」

 今日の、プロデューサーさんがいないこの収録も、思い出になるのかな?

 …確かめられるのは、自分だけですよね。




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