森久保乃々「これだけは無理なんですけどぉ!!」
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21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/23(火) 20:44:06.72 ID:fgfGQ0zl0

「あの…プロデューサーさん、これを読んでもらってもいいですか?」

まだ少し鼻をすすりながら、私はプロデューサーさんにノートの下書きを差し出します。

「…読んでいいの?」

「…読んでもらいたいんです。」

 プロデューサーさんは褒めてくれたけど、まだこのノートの中身を見てません。褒めてもらったことで、少し私は欲が出てしまいました。中身もプロデューサーさんに褒めてもらいたくなってしまったのです。

「じゃあ…。」

 プロデューサーさんは私からノートを受け取ると、絵本の下書きを真剣な目で見て行ってます。ぺら、ぺらと言うノートをめくる音が、私の緊張を誘います。

 勢いと欲が出てノートをプロデューサーさんに渡してしまいましたが、所詮は下書きで。もし『面白くない』とか、『なにがしたいのかわからない』とか言われたらどうしようとか、いつものようなネガティヴ思考に陥ってしまいます。

「…すごい面白い!」

 そんな不安も一気に払いのけられましたが。

「面白かった…んですか?」

「面白いよこれ!本屋に並んでても違和感ないくらい!」

 本当なんでしょうか?私に遠慮して大げさに言ってるんじゃないでしょうか…いや、プロデューサーさんの目が嘘を言っているようには見えません。

 じゃあ、本当に面白いって思ってくれたのでしょうか。私が好きに描いたあの絵本を、あの物語を、プロデューサーさんは面白いって思ってくれたんでしょうか。

 プロデューサーさんは何度も何度もページをめくり返し、何度も何度も面白い、面白いと言ってくれます。

 そこまで褒められると、流石に恥ずかしい。恥ずかしいけど、でも嬉しくて。

「えへへ…。」

 嬉しくなって、今度は涙じゃなく、笑いが出ました。




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