90:名無しNIPPER[saga]
2017/06/01(木) 00:02:38.10 ID:aZm27pw50
「うわぁ、いい! すっごくいい! もお、早く教えてよ!」
「ちょっと恥ずかしくて」
勘の鋭い3年生組に、変な誤解を受けたくなかったのもある。
「じゃあ、梨子ちゃんは、そんな素敵な風景があったことを覚えててくれる鳥さんだね」
「と、鳥さん?」
「別にカニとか、ウドンコでもいいけど」
「ごめん、鳥でいいみたい」
「よーし、俄然やる気が出て来たぞ〜!」
拳を握って高く掲げる、千歌ちゃん。
その目は、もう目の前のことしか頭にないって感じで。
きっと、曜ちゃんは、こんな千歌ちゃんを小さい頃に見ていたんだ。
私だって、友達として、スクールアイドルの仲間として、こんなにも素敵だと思える人間に出会った事なんてない。
「千歌ちゃん、し〜」
「あ」
周囲の人が何事かとこちらを見やる。
私たちは、苦笑いでぺこぺこと頭を下げた。
「うへえ……あ、梨子ちゃん、あと1駅だって」
私の手を握って、千歌ちゃんが体を揺らす。
「ええ」
そのスキンシップは、でも、私の心臓を昂ぶらせない。
友達だから。とても大好きな友達だから。
キスをしたいとさえ思わない。
私と千歌ちゃんの関係は、最高の状態で終わっているんだから。
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