71:名無しNIPPER[saga]
2017/05/30(火) 00:48:49.67 ID:Iipaznu40
「こら、善子ちゃん、止めるずら」
花丸ちゃんが後ろで騒いでいた二人の仲裁に入る。
「花丸ちゃん、もし、後輩ちゃん来たら教えてね」
「はい」
意外と、人は見てないようで見ているものだ。
もしかしたら、他にも気付いているのかな。
言わないのは優しさなのかもしれない。
教室に戻ると、千歌ちゃんが新曲の歌詞を梨子ちゃんと考えていた。
私が行かなかった日に、二人で歌詞を考えるという流れになったらしい。
詳しい経緯は知らないけれど。
そんな二人の空間に、やはり、何か見えない壁のようなものがあって。
何も考えなければ簡単に崩せるのに、どうしたって余計なことばかり考えてしまうのだ。
「あ、曜ちゃんお帰りー。後輩ちゃんいた?」
「ううん、ずっと休んでるみたい」
「え〜、心配だねっ? お家とか行く?」
千歌ちゃんがペンを置く。
「そこまでは、もう少し様子見てからね」
「でも、曜ちゃんファンてたくさんいるからね……曜ちゃん、言動には気をつけないとね」
「有名アイドルじゃあるまいし」
「でも、何か起こってからじゃ遅いわよ。気をつけてね、曜ちゃん」
歌詞カードから目を離し、梨子ちゃん真面目な顔つきで言った。
二人とも心配してくれているみたい。
「うん」
いつも通り。それが一番で。
私がそれを望んで、行動すればいいだけだと、そう思っていた。
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