65:名無しNIPPER[saga]
2017/05/29(月) 22:57:54.42 ID:gLUqfg7f0
「よーし、じゃあ、せっかくだし最後に軽く校庭10周くらいして」
「え、え、あ、あの、は、はい!」
後輩ちゃんの顔が引きつっている。
「そんなに怯えなくても、いーじゃん! でも、軽くランニングしてから帰ると気合い入るよっ」
「よ、よーそろ」
「お、いいね、よーしじゃあ校庭までダッシュだー!」
私はぱっと敬礼して、すぐさま教室を飛び出した。
「ま、まって先輩」
後輩ちゃんは意外と忍耐がある。
私の無茶ぶりにもけっこう答えてくれるし。考えるより体が動くタイプらしい。
そういう所は、なんだか自分にちょっと似てて面白い。
下駄箱まで来た所で、後輩ちゃんが立ち止まった。
「どーしたの?」
「あ、いえ……」
不思議に思い、近寄ると、
「ご、ごめんなさい。靴……使えないです」
「どういう意味……あ」
彼女の靴は、ハサミか何かで無残にも切り刻まれていた。
私は後輩ちゃんの肩を掴む。後輩ちゃんの目尻に涙が溜まっていた。
「っ……ひっ」
どうして、と尋ねることもできずに、彼女の体を抱きしめる。
誰が、こんなことを。
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