285: ◆PChhdNeYjM[saga]
2017/06/15(木) 23:09:06.15 ID:r9yqUWKuO
夢を見た。
女さんと俺は、もう一度南の島へ旅行に来ている。
俺の隣で無邪気に笑う彼女は、一輪の花のように華憐で、美しい。
やがて彼女は、身に纏っていた全ての服を脱ぎ捨て、水着姿となった。
裸足で駆けていくその姿を、俺はただ見つめていた。
根拠もなく、彼女は泳げるものだと思い込んでいたのだ。
腰まで浸かるまで進むと、彼女は全身の力を抜き、浮力に委ねる。
――ふと気が付くと、彼女は、水面から姿を消していた。
まさか……まさか……溺れているのか?
叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。
彼女の名を、叫んでいる……つもりが、全く声がでない。
出そうとしているのに、喉に力を入れているのに、口を動かしているのに。
まるで、何かが詰まっているかのように、声が出ない。
待ってくれ……行かないでくれ。
俺が悪かった。
戻って来てくれ。
戻ってくれたら、俺の全ては君に捧げよう。
だから……置いて行かないでくれ。
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