男「余命1年?」女「……」
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277: ◆PChhdNeYjM[saga]
2017/06/13(火) 22:42:50.00 ID:7v9q17ymO

手術、当日。

俺はこの日、仕事を休んだ。


俺は受付に着くと、何度も何度も頭を下げた。

受付の女性はあきれ果てたように溜息を吐き、担当医まで受付へやってきて、結果俺は、手術中の時間のみ入る事が許された。


男「女さん……女さん!」


移動式ベッドに乗せられた小さな身体が、病室から手術室まで運ばれていく。

昨日意識を失ってから、彼女は一度も目を覚ましていない。


移動中、何度も何度も呼びかける。


俺の声は、彼女に届いているのだろうか。

俺には、確かめようもない。


やがて、無機質な扉の前に辿り着いた。


「……手を、握ってあげてください」


手術用のマスクと帽子を身に着けた医師らしき男が、俺の顔を見据えて言った。


男「は……はい!」


細い腕に手を伸ばし、すっかり冷たくなってしまった手の平に、自らの体温を送るように力強く握る。


男「大丈夫、俺がずっと傍にいるから」

男「だから……君も、頑張って」




微かに、指先に力が籠ったのを感じた。


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