235: ◆PChhdNeYjM[saga]
2017/06/03(土) 21:54:43.05 ID:xvaQaTKyO
瞬間、細い腕に力が籠り、俺の上半身は女さんに引き寄せられた。
いや、女さんの身体が、俺に接近したと表現するのが正しいだろう。
女さんの瞳が、大きく視界に映る。
まるでマシュマロのような、柔らかな感触。
彼女が目を瞑ると、まつげの長さが際立って見えた。
こういう場面では、俺も女さんのように、軽く目を閉じるのが正しいはずだ。
だが俺は……突然の出来事に、ただただ硬直していた。
たった一瞬の出来事だった。
女「……ごめんなさい」
女「嫌……でしたか?」
不安そうに俺の様子を伺う彼女を見て、俺は我に返った。
男「君にはいつも驚かされる」
男「嫌なんかじゃない……嬉しいよ」
返事を聞いて、女さんは表情をめいっぱい輝かせた。
女「では……今度こそ」
男「うん。またね、女さん」
女「はい……また、来てください」
必ず来るよ、と返事を返し、俺は名残惜しくも病室を後にした。
296Res/146.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20