36:売人[saga]
2017/05/14(日) 23:19:27.83 ID:GMdbfU790
「あなたの父はここにはいませんか?」
「えっ?いえ。父とは住んでいる家が違うので」
「そうですか」
赤いジャケットの男は父を探しているようだった。
やはり父の身に何が起きたのだ。
「あの…父に何か要件でも?」
昴は恐る恐る尋ねる。
「実は、あなたの父がガイアメモリを流通させている密売者のグループと関係あることがわかった」
「えっ?」
昴は少し驚いてしまった。彼女は嘘は苦手な方ではないが警察の前となると緊張で動揺を抑えられない。
しかし彼女はなるべく冷静であるように装い、刑事の話に耳を傾ける。
「密売者の1人とコンタクトを取っていた所を目撃者が何人もいる。重要参考人として彼の身元を追っている」
ジャケットの男は静かな口調でそう話した。
"まさかとは思っていたがやっぱりに関わりがあるんだ"
と昴は確信した。
「えっ…あの…父が何かしたんですか?」
冷静を保ちつつ刑事に問いかける。
「いや、あくまでも密売者のことを聞き出すだけですよ。別にあなたの父になにかしようってわけじゃない」
「そ、そうですか」
「もしなにかわかったら風都署まで連絡を」
「は、はい。ここまでご苦労様です」
「いえ、これも仕事なんでね」
ジャケットの男ともう1人の刑事は車に乗り込んで去っていった。
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