19:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 13:27:48.25 ID:0B6uKpBO0
「目覚まし時計を止める。二度寝をする。親に叩き起こされる。朝食をとる。朝の排泄をする。ヘルメットをかぶり、自転車に乗って学校に行く」
「友達と話す。授業中に寝る。昼頃お腹が痛くなって、個室に行ってからかわれるのが嫌だから、校舎の隅の無人のトイレまで行って排泄をする」
「午後の授業も寝る。部活に行く。ヘルメットをかぶり、自転車に乗って家に帰る」
「夕飯を食べる。歯を磨く。夜の排泄をする。携帯を4時間近くいじったあと、寝る」
「なんなんだろうな。やってることは正しいけど。俺らの毎日って、何者かに支配されていないか」
「知らないけどさ。1日のスケジュール説明に重波の排泄事情を挟む必要はないでしょ」
久しぶりに駒田(こまだ)と一緒に帰った。
「それに、授業ちゃんと受けなきゃ駄目でしょ。授業中寝てるから何のために学校行ってるのかわからなくなるんだよ」
「何のために学校に行ってるのかわかってたら勉強するよ」
「ふーん」
「駒田こそ、勉強ちゃんとしてんのかよ」
「あまりしてないけど、成績はトップだからなぁ」
「ぎょぴー!」
「そこはうざいとか言って突っ込んでよ」
駒田は将棋の教室に通いながらも、学業を疎かにはしていなかった。
というよりも、学業が疎かになってしまう程度であれば、棋士としての才能もなかったことになるのだろう。
「駒田は棋士を目指すの?」
「うーん……」
「なりたくないの?」
「なれないかもしれない」
「どうして?」
「僕より年下で、僕なんかじゃ全く歯が立たない人がいる」
「でも駒田より歳上で、駒田に全く歯が立たない人もいるんだろ?」
「下を見ればきりがないよ。あれ、この場合は上を見ればって言えばいいのかな。とにかくさ、迷ってるようじゃ駄目なんだ。迷ってるうちにさされてしまうのは、棋士も騎士も一緒だよ」
自転車を漕ぎながら駒田は言った。
「親は自由にしろって言ってくれてるんだけどね」
駒田は、B地区出身の生徒である。
両親ともに一流大の出で、お父さんは医者をしているらしい。
「こんな情けないこと言いたくはないんだけどさ」
「うん」
「1年生の頃に戻りたいよ」
「情けないこと言うなよ」
そんなこと、こっちだって毎日思っているよ。
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