16:名無しNIPPER[saga]
2017/05/28(日) 18:41:43.26 ID:5eIwWQUS0
国語の授業の時間になって、俺は気になることを隣の席の女子に聞いた。
「なんで引森のこと苗字で呼んでるの?」
「重波くんだって苗字で呼んでるじゃん」
「男と女じゃ別だろう」
「なんかさ。苗字で呼んでるのに仲が良いってギャップがいいじゃない」
「引森は下の名前で呼んでるじゃん」
「それは、私が私の苗字をあんまり好きじゃないって言っちゃったからだよ」
そう言うとシャーペンを手に持ち、俺のノートに名前を書き始めた。
竜神(りゅうじん)まきな。
「竜の神だよ。人間なのに。自己紹介の時にいつも恥ずかしいんだって」
「確かに珍しい苗字かも」
「しかも、西洋のリュウの字だよ。確かに一時期西洋で過ごしてたけど」
「西洋のリュウ?過ごしてた?」
「ほら、二種類漢字があるでしょう」
そういうと竜神は、"竜"と"龍"と書いた。
「"竜"は西洋のリュウを指すの。人間と仲が悪くて、ヨーロッパの森の中に住んでいて、ゲーム機の中で戦ってる方。一方、"龍"は東洋のリュウを指すの。人間から讃えられていて、中国の雲のかかった山の頂に現れて、7つのボールから飛び出してくるような方。いいのかな、東洋の人間なのに」
「龍の字だったら毎回書くの大変じゃない?」
「うーん……」
竜神まきなは考え込んだあと口を開いた。
「まあ、漢字にとらわれず、仲良くやりましょう。人間さん」
魅力的な笑顔だった。
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