70: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/05/10(水) 17:45:06.93 ID:PFrSjBIhO
この哲学的な迷宮に迷い込んだとき、私は大抵自分が“艦娘”だと定義して無理やり結論づける。
兵器でも人間でもない、その合間の存在。
ハーケンクロイツの下では果たせなかった「ドイツに住まう人々を護る」という使命を、もう一度与えられた存在。
人間でも兵器でもいい、私は“艦娘”としての使命を果たすだけだ。そう言い聞かせて、答えのない問いに蓋をする。
何より、それは私の本心でもあった。自身が「モノ」と「ヒト」の狭間に揺れる曖昧な存在であっても、課せられた使命が崇高であることは変わらない。
この使命のためなら、“兵器”として命を捨てることも厭わない。
────そう、本気で思っていたはずなのに。
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(#゚∀゚)「ユーロファイター部隊より通達!爆撃実行、なれど敵損害極めて軽微!敵は未だ強固な抵抗力を有するとのこと!!」
(#゚д゚?)「ハナから期待はしてないさ!!
プリンツ、レーベレヒト!市街地に突入するぞ、後続しろ!」
「Jawohl!!」
「っ、や、Jawohl!!」
今の私───Prinz Eugen-09の胸の内にあるのはそんな高尚な使命感ではなく。
「死にたくない」という、無様な願望だけだった。
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