440: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/29(木) 00:58:27.43 ID:8fhCldZ+0
(#メ゚A゚)「ぅおあああああああああああっ!!!!!」
最初で、最後のチャンスだ。ル級だろうが軽巡棲姫だろうが、とにかく一隻でも衝撃から立ち直ればもうこっちに手立てはない。攻撃された瞬間に、ドク=マントイフェルという存在は木っ端微塵でゲームオーバーだ。
叫び、走る。全身の力を一滴残らず絞り出しながら、駆ける。
彼我の距離は、40M。
(; A )「クッ、ソッ、がァあああああああああ!!!!」
全身が悲鳴を上げている。脳が苦痛を、限界を認識しないようにと叫び続けるが、その叫びがまた体力を削る。
距離、30M。
(;メ A )「 !!!」
視界が揺れる。耳が機能を失い、自分が何を叫んでいるのかすら解らない。
それでも、脚だけは前へと進み続ける。
距離、20M。
(;メ A )
脚の感覚が消える。揺れる視界と、フラッシュバンの衝撃から立ち直ろうと蹲り頭を振る軽巡棲姫の姿が近づいていくことだけが自分がまだ前に進んでいると教えてくれる。
残り、10M。
『 !!!』
軽巡棲姫の上半身が起き上がった。よろめき、長い髪を振り乱し、それでも左手の艤装を持ち直し、ソレを身体の手前まで持ち上げる。
『 !?』
5M。艤装を構えようと此方に向き直った棲姫の口元が何かに怯えるように引きつった。
1M。脚がもつれ、地面に倒れ込みかけた身体を、伸ばした手が何かに引っかかってギリギリのところで支える。妙にひやりとした感触に、僅かな心地よささえ覚えつつ身体を前へと投げ出す。
もう、視界にも何も映らない。ただ、自分が何かを抱擁していることだけ理解する。
0M。
俺の耳元で、誰かが叫ぶ。
『──────コナクテイイノニ……ナンデクルノヨ…………クルナ、来るなぁああああ!!!』
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