400: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/24(土) 01:00:20.88 ID:W1r6lzRK0
「お姉様!?」
「っ、大丈夫よ!じっとしてなさい!!」
鳴り響く轟音。煙を切り裂いて次々と飛来した砲弾から庇うようにして、ビスマルクお姉様が私の上に覆い被さった。
一発が至近で炸裂して泥を巻き上げ、もう一発が背後からお姉様を射抜く。
「うっ………」
幸い、かつて大英帝国を震え上がらせた戦艦の装甲は伊達ではない。障壁はお姉様の身体を爆風から完全に守り切った。
でも、全くの無傷というわけにもいかない。艤装から火花が飛び、お姉様を覆う障壁が一瞬黄色く明滅する。
(一撃で、小破まで……)
《Z1-23よりビスマルクさん!何が起きたの!》
《Z3-11より旗艦、攻撃準備はできてるわ!いつでも言って!》
「Prinz Eugenより各艦、座標同一で速やかに支援砲撃の再開を!私とBismarckが攻撃を受けて………!?」
指示を出す暇なんてなかった。お姉様が咄嗟に私を更に後ろまで投げ飛ばし、そこに新しく四発の砲弾が飛来する。
内一発が、直撃。当たり所が良かったのか障壁の色は黄色から変わらないものの、背負う艤装の端で機銃が小さく爆発して根本から吹き飛んだ。
「Feuer!!」
衝撃を何とか踏みとどまって耐えたお姉様が、主砲を放ち反撃する。
───けれど、38cm砲が炸裂するよりも僅かに早く、煙の中から飛び出してくる“人影”があった。
背後で爆炎をまき散らすお姉様の38cm砲弾など気にとめる様子すら無く、その影は小柄な体躯を更に小さく丸めて弾丸のようにお姉様めがけて突進する。
『────♪♪♪』
「あ゛うっ!?」
速い。反撃も、回避も、防御もままならずに跳躍と共に振り切られた尻尾がお姉様の腹部を殴打する。凄まじい打撃で浮き上がった身体は、着地と共に二、三歩後退って横倒しになった戦車の残骸にぶつかりようやく止まった。
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