39: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/05/09(火) 13:14:15.01 ID:B042YGid0
ベルリン大聖堂を通り過ぎてからの20分ほどの逃避行の中で、更に四台の装甲車と相次いですれ違う。
最初こそ上がっていた激励の歓声は回を追うごとに少なくなっていき、最後の一台の時には誰も顔すら上げなかった。
まぁ、当然だろう。一向に治まらないどころか、激しさを増していく戦闘音。黒煙が立ち上る数は増え、逆にパトカーや救急車、消防車のサイレンは次々と途切れていく。何より、これほどの騒ぎにも関わらずヘリや戦闘機は一機たりとも市の上空を飛んでいない。
どれだけ鈍くて楽観的な人間でも、ベルリンが置かれている状況がいかに悲惨かは見えてくる。
「押さないで、誘導に従うんだ!」
「深海棲艦は陸軍と警察が食い止めている!まだ来ない、安心して下さい!」
なので、予想(というより願望)通りに築かれていた陸軍とベルリン市警の共同防護陣地にたどり着いたときに、誰よりも安堵したのは俺とツンだ。
ξ;゚听)ξ「正直、危なかったわね」
(;'A`)「全くだ」
深海棲艦に対する恐怖から暴動一歩手前だった避難民達の悪意は、明らかに東への逃走を先導した俺とツンに向けられていた。もし実際に彼らが暴徒化して俺たちの私刑(リンチ)を始めた場合、幾ら軍隊格闘の経験があってもこの人数を丸腰で抑えることは不可能だったに違いない。
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